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「最古の文字なのか?」

ジュヌビーブ・ボン・ペッツィンガー 文藝春秋

ヨーロッパ各地の洞窟に古代人が書き残した大量の抽象図形を調査した報告。データベース化してみると、32種類に大別出来ることが分かり、ある種の記号、もしくは文字なのでは?、という所へ進んでいく。

言語や文字に関心が強いので、邦題に引かれて読んでみた。しかし、文字かどうかという点については、文字とはいえないと割と簡単に否定されてしまっていて、若干肩透かし。そもそも原題は「The First Signs」だからあくまでも調査の対象は「記号」であって「文字」じゃないし、文字ということにそんなにこだわっているわけでもない感じ。邦題にやられたかな、という気はする。

古代人の生活や文化についての考察は、十分興味深い話ではあったけれど、古代人が実はかなり高い水準の文化を持っていたと思われる、と言われても、そんなに驚けないのは、古代の超文明みたいなヨタを、読み過ぎているからかなあ(^^;)。

記号の解釈についても、あまり踏み込んでいない。それから、容易には入り込めないような深い洞窟に、危険を冒して潜ってまで、絵や記号を書き残した理由については、もう少しはっきりした考察を示して欲しかった気がする。

著者の意図としては、現地での調査過程や得られたものの記録、というあたりに主眼があるように思える。これらの資料から結論を導くのは次の段階、というような感じ。実際問題として、まだ集めきれてない資料も大量にあって、結論を出す段階まで来ていないのだろうし、仕方ないんだろうな。

洞窟を調査するくだりなどは、いかにもドキュメンタリーな感じだし、ディスカバリーチャンネルあたりでやってる、興味深いけど、いまいち食い足りない感じのする番組を連想しないでもなかった。

事前に期待した内容とは、ちょっとずれていた。